認知症について多くの皆さんの関心が出てきてから随分時間が経っている様に思います。
現在のところ認知症を完全に治してしまう治療法は存在しません。現在のお薬を使った認知症治療には限界があります。
お薬以外の認知症への対応方法として、非薬物的アプローチというものがあります。
今から10年ほど前、この非薬物的アプローチによって大分県の安心院町(現・宇佐市)で軽度認知障害の住民の皆さんに対する認知症予防介入を行なっていました。
その時に実感したのは『人との交流によって脳を活性化する事ができるのではないか』という事です。
ヒトは言語を持ちコミュニケーションを行う動物です。誰かに自分の気持ちや考えを伝えるという事はヒトとして自然な行為でありますし、生きていく上で極めて重要な行いだと思います。
こうした行為がなされなくなった時、ヒトとしての存在意義が薄れ、認知症が完成していくのではないでしょうか。色カルタを取り入れる事でヒトとの交流の機会が増え、脳が活性化すると考えています。
専門医としては色カルタを行なっていれば認知症にならない、とは言えません。
しかし、少しでも認知症への進展を遅らせ、より良く生きていく手段の1つとして取り入れてみる意義があるのではないかと思うのです。
色カルタをやってみたらこんな風になりました、という皆さんからのお話をお聞きしてみたいと思う今日このごろです。
医療法人相生会 認知症センター 中野正剛